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実施日:2026年7月27日
司会進行:所長
発表者:スタッフA・B・C・D・E
今回の研修は、単に「ギバーになろう」という精神論を学ぶものではありません。中心となったのは、どうすれば菊地税理士事務所全体が、顧問先に良い変化を起こす問題解決集団になれるのか、という組織づくりの議論です。
スタッフAは、『人は所属するグループの中で、周囲の人がどのように行動しているかを見ながら、「この場では、どのように振る舞うべきか」を学んでいく』(357ページ)という点を取り上げました。
もともとテイカー的、マッチャー的な面がある人でも、ギバーの多い環境に身を置けば、徐々にギバーとして行動するようになる。したがって、自分をどのような環境に置くかが重要だという発表でした。
「類は友を呼ぶ」という言葉が今も残っているのは、それが人間社会の本質を表しているからではないか。ただし、ここでいう「自分と似た人」を、現在の自分と似ている人だけに限定してはいけません。
重要なのは、理想の自分に似ている人たちの中へ入っていくことです。今の自分に近い人たちの中にいれば、安心はできます。しかし、そこが必ずしも成長できる環境とは限りません。
一方で、「自分には少し背伸びかもしれないが、将来こうなりたい」と思える人たちのコミュニティーに入れば、その人たちの考え方や行動から影響を受け、自分自身も変わっていきます。
数字を説明する人ではなく、社長本人を支援する人になる
1つの事例として、北海道ニセコでの研修会で出会った他の会計事務所の例を挙げました。多くの一般的な会計事務所は、会計ソフトから出力される帳票や経営分析資料を使って報告しています。しかし、資料を使うこと自体が目的になり、やがて「何を伝えればよいのか分からない」という状態に陥ることもあります。
菊地税理士事務所が目指しているのは、それとは異なります。数字はもちろん必要ですが、数字の説明で終わるのではなく、
という、社長本人にスポットライトを当てる支援です。
ニセコ研修で出会った意識の高い税理士たちの多くは、そのような支援を行っている人たち、あるいは今後そのようになろうとしている人たちでした。その中に身を置き、互いに学び合うことが大変に有意義だったことを共有しました。
「今のままでいい」と思った瞬間に、成長は止まります。菊地税理士事務所も、スタッフ一人ひとりも、次はどのような自分を目指すのかを定め、その理想像に近づける環境を、自ら選ぶ必要があります。
スタッフBは、『個人対個人ではギバーが相手に利用されないよう自己防衛する必要がある一方、相手がグループの場合には別の方法がある』(336ページ)という箇所を取り上げました。
それは、グループ全員にギバーとして振る舞ってもらうことです。スタッフBは、中学校と高校で経験した先輩・後輩関係の違いを紹介しました。
中学校では、理不尽な上下関係が引き継がれていました。自分たちの学年が後輩に優しくしても、その後輩たちは、自分たちが受けたいじめをさらに下の学年に繰り返しました。ところが高校では、先輩たちが後輩に親切に接することが当たり前でした。その環境に入ると、それまで厳しい上下関係の中にいた人たちも、自然に後輩へ親切に接するようになりました。
この経験から、人の性格だけでなく、その組織で何が当たり前とされているかが、行動を大きく左右することを実感したという発表でした。
ここで大切なのは、良い人を集めることではなく、良い行動が自然に起きる組織を意図してつくることです。ギバー、マッチャー、テイカーは、固定された人間の種類ではありません。同じ人でも、置かれた環境によって行動は変わります。
だからこそ、
という仕組みをつくれば、マッチャーやテイカー的な面を持つ人も、その場ではギバーとして行動しやすくなります。
「やってあげたい」だけでは、良いギバーとは限らない
ギバーの集団をつくる際に、もう一つ重要な注意点があります。それは、自己中心的なギバーの集団にしないことです。「相手のためになるはずだから、こちらの考えを受け入れるべきだ」という姿勢は、相手を見ているようで、実は自分の満足を優先しています。
顧問先に対しては、頼まれていなくても必要だと思う提案をする。しかし、
をきちんと説明し、相手が「今は必要ない」と判断したなら、そこで引くことも必要です。断られたときに罪悪感を持つ必要はありません。
「まだ相手の問題を解決できるだけの提案になっていなかった」と受け止め、次の提案力向上につなげればよい。頼まれなくても提案しつつ、押しつけず、相手の反応から改善する姿勢を持つようにしましょう。
菊地税理士事務所がつくるべきなのは、単なる「仲の良い組織」ではありません。顧問先の問題を発見し、互いに知恵を出し合い、提案し、相手の意思を尊重できる組織です。
また、このような組織文化や仕組みのつくり方そのものが、将来、顧問先に提供できるコンサルティングの一つになります。
スタッフCは、『人は自分と共通点を持つ相手に親近感を抱き、その相手を助けたいという気持ちも強くなる』(353ページ)という箇所を取り上げました。
名前、出身地、年代、趣味、家族、経験など、何らかの共通点があると、人との距離は縮まります。スタッフC自身も、普段であれば引き受けないような結婚式の二次会幹事を、幼なじみのためには「何とか成功させたい」と思い、懸命に務めた経験を紹介しました。
ビジネスの場では、最初から大きな共通点があるとは限りません。そのため、日常的な雑談や会話を通じて、相手との接点を見つけることが大切だという発表でした。
営業担当者が相手の出身地や趣味を事前に調べたり、質問を重ねたりするのも、共通点によって親近感が生まれることを理解しているからです。しかし、人間には「同じでありたい」という欲求だけでなく、他の人とは違う存在でありたいという欲求もあります。
つまり、人は、
という二つの相反する気持ちを持っています。書籍で示されていた解決策が、同時に同化し、異化するという考え方です。
「違うだけ」では選ばれない
この考え方は、顧問先の問題解決や事業の差別化を考える際の重要なヒントになります。企業は「他社との差別化が必要だ」と考え、他社と違うことばかりを探しがちです。しかし、お客様との共通点や安心感がなければ、その違いは単に「自分には関係のない変わったもの」と受け取られてしまいます。
一方で、他社と全く同じであれば、あえてその会社を選ぶ理由も生まれません。したがって、魅力的な商品やサービスには、安心できる共通性と、選ぶ理由になる独自性の両方が必要です。
営業でも、相手の立場を考えなければ本質を外す
自分が営業を受けるときには、強くお願いされたり、断りにくい雰囲気をつくられたりすることを嫌がります。
ところが自分が営業する側になると、頭を下げてお願いし、相手を断りにくくさせようとしてしまうことがあります。それでは、自分が嫌だと感じていることを相手に行っているにすぎません。
相手の心理や人間の性質を深く考えず、安易な営業方法を取ると、努力しても本質から外れた結果になります。
顧問先との信頼関係をつくるには、税務や数字だけでなく、その人自身を知る会話が欠かせません。同時に、顧問先の商品やサービスを考える際には、お客様が安心できる共通点を残しながら、その会社ならではの違いをつくるという視点が必要です。
これは、顧問先の営業、商品開発、差別化を支援する際に使える、極めて実践的な問題解決の考え方です。
スタッフDは、『人から強制されて良い行動をしても、それを「やらされたから」と説明できるため、自分をギバーだとは考えるようにならない』(371ページ)という箇所を取り上げました。
一方、自分の意思で人に与える行動を繰り返すと、その行動が自分の個性として内面化され、後から信念も変わっていく。つまり、信念が完全に変わるのを待つのではなく、先に行動を変えることもできるという発表でした。
「分かりました」「考え方が変わりました」と言うだけでは、本当に考え方が変わったことにはならない。考え方が本当に変われば、必ず何らかの行動に表れます。
研修で確認された流れは、次のとおりです。
スタッフAがさまざまなコミュニティーへ実際に参加し、そこで人から影響を受けたのも、最初に「行ってみる」という行動を起こしたからです。
菊地税理士事務所は、すでに「同じで異なる事務所」である
顧問先を応援し、会計や税務を通じて支援するという目的は、他の会計事務所と同じです。しかし、その方法は大きく異なります。
これは、会計事務所としての共通性を持ちながら、関わり方では独自性を持つ、まさに「同じで異なる事務所」であり、この仕事の進め方に菊池税理士事務所としての誇りを持っています。
AIは作業を減らすためではなく、問題解決に使う時間を増やすためにある
一方で、現在の方法をすべて人手とアナログ作業で続けることには限界があります。そこでAIを活用し、
を効率化し、スタッフ全員が、より深く顧問先の問題解決やコンサルティングに関われるようにする必要があります。
今後の会計事務所は、コンサルティングへ転換できずに厳しくなる事務所、低価格で大量処理する大手事務所、そして専門性と問題解決力を持つ個人事務所・小規模税理士法人へ分かれていくのではないか、と考えています。
「もっと良い方法はないか?」を行動の起点にする
若い頃から自分に問い続けてきた言葉は、もっと良い方法はないか?です。この問いを持ち続けることで、現状をそのまま受け入れず、新しい方法を考え、実際の行動へ移すことができます。
ホワイトボードの右側にも、この言葉が大きく残しました。
菊地税理士事務所に必要なのは、知識を持っているスタッフだけではありません。学んだことを一つでも行動に変え、試し、改善できるスタッフです。理解しただけでは、顧問先には何の変化も起こりません。行動して初めて、知識が問題解決力に変わります。
スタッフEは、『他人の人生に、ちょっといいことを起こすことに注意とエネルギーを集中してみてほしい』(380ページ)という箇所を取り上げました。
顧問先のために行動し、相手に喜んでもらうことで、この仕事へのやりがいや充実感が生まれます。一方で、相手のために何かをしようと考えすぎて、自分の時間、体力、気持ちを後回しにしてしまうこともある。
他人への貢献と、自分自身を大切にすることのバランスが必要だという発表でした。
与え続けている人が、必ずしも相手を見ているとは限りません。ただ与え続ける人は、ときに、人の役に立っている自分が好きになっているだけで、相手が本当に必要としているかどうかを見ていない場合があります。
相手が「もう十分です」と言っているのに、「もっとやってあげたい」と続けるのであれば、それは相手のためではなく、自分の満足のためかもしれません。
良いギバーは、自分の成果と相手への貢献を両立させる
目指すべき姿は、個人の業績・喜び+他人への貢献です。仕事であれば、顧問先への貢献と、売上、成長、やりがいを両立させる。プライベートであれば、他人を助けることと、自分自身の楽しさや充実感を両立させる。これが、自己犠牲ではないWin-Winのギブです。
相手の反応は、努力への評価ではなく、改善の材料である
時間をかけて15枚のスライドを作れば、つい相手から「すごいですね」と言ってもらうことを期待してしまいます。しかし、相手の反応が「ああ、なるほど」程度だった場合に、「これだけやったのに、その反応か」と考えてはいけません。
見るべきなのは、自分が費やした時間や資料の枚数ではなく、
という点です。相手の反応が薄いのであれば、相手を責めるのではなく、自分のアウトプットを改善する材料にする。
方法は来年変わっているかもしれません。しかし、どうすれば相手に良い変化を起こせるかという根本の目的は変わりません。
顧問先への貢献は、自分がどれだけ時間や労力をかけたかではなく、相手にどのような良い変化を起こせたかで判断する必要があります。
大切なのは、相手が本当に必要としていることを理解し、自分自身の成長や成果とも両立させながら、より良い方法を考え続けることです。相手の反応を改善の材料とし、自己満足ではない、本当の意味でのギバーを目指すことが重要です。
今回の議論は、次の5つに集約できます。
現在の自分にとって居心地が良い場所ではなく、将来なりたい自分に近い人たちの中へ入る。
一部の親切な人に依存せず、助ける、共有する、提案することが自然に起きる組織をつくる。
相手が安心できる共通性と、その会社を選ぶ理由になる独自性を両立させる。
「分かった」で終わらず、一つでも試す。試した結果から改善し、習慣と能力へ変えていく。s
資料の枚数や作業時間ではなく、相手の理解、意思決定、行動にどのような変化が起きたかで仕事を評価する。
今回の研修の結論は、単に、「みんなでギバーになりましょう」ということではありません。より本質的な結論は、菊地税理士事務所は、スタッフ一人ひとりの善意だけに頼るのではなく、顧問先の問題を発見し、提案し、行動し、改善することが当たり前になる文化と仕組みをつくるということです。
数字を正確に処理することは、会計事務所として当然必要です。しかし、菊地税理士事務所が目指すのは、その先にある、数字を使って社長本人を理解し、その会社と社長の未来に、実際の良い変化を起こすことです。
そのために、研修の最後に残った問いが、「もっと良い方法はないか?」です。この問いを、月次報告会、顧問先への提案、資料作成、AI活用、スタッフ同士の協力のすべてに持ち続けること。それが、菊地税理士事務所を、顧問先の問題解決に注力する集団へ進化させる原動力になります。
私たちは、“団体戦”で顧問先を支える税理士事務所です。
想いを共にし、チームの一員として歩んでくれる
仲間をお待ちしています。